歩行改善率83.3%、1人あたりの歩行評価時間1/10削減を実現! | 医療法人健康会・介護老人保健施設アイリス

解析結果は8割以上のケアマネジャーから満足いただいています
医療法人健康会/介護老人保健施設アイリスはどのような特徴がある法人ですか?
「いきるを支える」医療・介護・福祉の実現の基、社会医療法人石川記念会 HITO病院、医療法人健康会、社会福祉法人愛美会からなる石川ヘルスケアグループ(IHG)で病気の予防や専門性の高い医療の提供から自宅でのケアまで一貫して支えています。当施設は、要介護認定を受けた110名の入所高齢者が、自宅での生活へ復帰することを目的に、リハビリテーションを主体とした通所リハビリ、訪問リハビリを含めたサービスを提供し、地域に選ばれる介護老人保健施設を目指しています。
CareWiz トルトを導入した背景について教えてください。
地域に選ばれる介護老人保健施設を目指し、ケアの質向上及びリハビリ内容等を再検討するハートフルプロジェクトチームを発足しました。企画のコンセプトとして「歩く」、「食べる」、「ふれ合う」の3要素を掲げ、これらの要素を組み合わせながら楽しむ環境設定や新たなプログラムの導入にチャレンジしています。また、当グループでは、業務効率化とサービスレベルの向上のため、業務用端末としてiPhoneを導入し、Web会議の活用や業務用SNSでチームを作成し、スタッフへ周知したい情報を発信、スタッフ同士のトーク、動画を含めた利用者の情報交換など様々な場面で活用しています。
そういった経緯から、iPhoneで誰でも簡単に歩行評価を可視化することができ、業務の効率化、利用者・家族・多職種と課題や成果が共有できるコミュニケーションツールになると考え、通所リハビリにCareWiz トルトを導入しました。

医療法人健康会/介護老人保健施設アイリスではCareWiz トルトをどのように使っていますか?
【導入の流れ】
導入前の歩行評価としては、歩ける方を対象に①Timed Up & Go Test(TUG)、②5m歩行、③Functional Reach Test(FRT) を測定し、カルテへ転記するなど対象者1名あたり約10分の作業時間を要していました。その歩行計測を全てCareWiz トルトの撮影に置き換えました。
導入からの1か月はスタッフの撮影経験やルール作りと問題解決に努めました。また、行政へ運動器機能向上プログラム実施計画書の書式変更を確認し、書式を変更しました。
【CareWiz トルト活用法】
歩行解析のタイミングとしては、初回利用時から毎月歩行解析をしています。撮影の流れとしては、月の中旬頃から1週間かけて計測します。その後、スタッフがチェックを行い、撮影漏れの有無や解析結果の内容から今後の支援計画へ反映させています。結果内容については、適宜利用者・家族に伝達し、報告書として解析結果シートをケアマネジャーへ配布しています。
CareWiz トルトを導入してどのような変化がありましたか?
【歩行支援の変化】
投稿数は平均234.7件/月(令和4年2~4月)で、1件の計測時間が約10分から約1分へ短縮され、1か月約2112分(約35.2時間)の時間短縮が図れました。
計測時間の削減と同時に利用者と関わる時間を拡大、歩く支援を強化しました。
・屋上を活用し歩くことの楽しさを引き出す
これまで殺風景だった屋上に、園芸や菜園ができる環境を整備して自然の風景を楽しみながら散歩できるコースを設置し、利用者が花や野菜に水やりをするなど日常生活の中での機能回復を促しています。そして、定期的にBBQや運動会など屋外行事を企画しています。
・「歩きたくなる」を演出する仕掛け作り
フロア中心の時間軸から、昔懐かしい駄菓子屋を設置して、おみくじを引き自分の好きな駄菓子を選択して味わうことや、近所の公園・農園の散策など歩いて行ってみようという仕掛けと昔を思い出す情意の刺激も含めた取り組みを行っています。
【歩行改善と満足度】
2022年2~3月に新規登録した18名(平均年齢:80±7.7歳)に対し、解析結果を前月比較しました。改善者は15名で改善率83.3%、維持は3名で維持改善率は100%。利用者からは、「今日も歩くな?」という今までには聞かれなかった声が増えています。レクリエーションにも運動を取り入れた内容や屋外歩行などのメニューが増加し、市内のケアマネジャー(25名)を対象に解析結果シートについてアンケートを行ったところ8割以上の方から満足を得られています。
今後取り組みたいことを教えてください。
歩行解析だけでは歩行機能の改善は難しく、解析データをどう活かし、多職種協働で計画立案・実践していくかが重要です。今後も解析を継続しながら結果の傾向と分類を検証し、転倒リスクや機能に応じた小集団トレーニングを検討予定です。また、個別リハビリにおいても解析結果を参考に個別性に合わせた、HAL®腰タイプ、パワーリハビリ、スリングセラピー、自主訓練等のメニューを選択・組み合わせながら成果を検証し、「歩く」支援を更に強化していきたいです。
高齢者のリハビリにおいて、1つの行為だけではなく楽しむ環境設定と新たなプログラムの導入が大切だと思っています。利用者自身の持てる力を引き出し、日常生活の中で目的を持って「歩く」「食べる」「ふれ合う」全てが組み合わさることで利用者の身体機能や精神機能が支援できます。そういった笑顔と活気ある「ハートフル=心のこもったケア」を実践し、地域から選ばれる介護老人保健施設に向け、新たな発想で取組んでいきたいです。
CareWiz トルトを他の方におすすめするとしたら、一番のメリットとして何を伝えますか?
日常生活の活動範囲を決めるためには、歩行は大切な要素です。これまでリハビリ専門職として、バランスや歩行を評価し、出来るだけ分かり易く利用者や家族、スタッフへ伝え共有できるように努めてきました。また、過去にリハビリ部門で伝え方のトレーニングも試みましたが、どうしても技術や経験による差異はみられていました。そのため、CareWiz トルトは誰が見ても解り易く可視化できることが一番のメリットだと思います。また、準備はiPhoneだけで施設や在宅など何処にいてもリアルタイムで情報を発信・受信でき、簡単に歩行解析することができる画期的なコミュニケーションツールだと思います。